保護後も残る深刻な影響

保護後も残る深刻な影響


消えた子どもたちが無事保護されたとしても、その後様々な困難が待ち受けていることは容易に想像できる。
義務教育さえ受けられないなど、一定期間、社会とのつながりを断たれていた子どもたちは、
どのような影響を抱えることになるのか、調査では複数回答で尋ねた。

最も多かったのは、「学習の遅れ」で554人、「進学に影響」を含めると全体の7割余りに上る。
次いで「体の発達に影響」が157人、「非行・犯罪」が130人、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)等のトラウマ症状」は90人。

また、その他の欄の記述のなかには「コミュニケーション能力が低い」といった対人関係の記述も多くあった。詳細が把握できた813人のうち9割にあたる746人が何らかの影響に苦しんでいた。

具体的にはどんな「後遺症」に苦しめられているのか。記述回答の一部を記す。

    ・17歳で保護されたが漢字が書けない。計算ができない。

   ・ 長い監禁生活により、筋肉がなく、坂道を下り始めると止まることもできない。

   ・ 幼児なのに自傷行為があった。

   ・ 低身長、目に生気がなく、焦点の定まらない無表情。

   ・ 閉じ込められていたため、色が真っ白で、土踏まずが形成されていなかった。

    ・生首の絵を描き、死にたいと口にする。精神科の薬がないと生活できない。

   ・  箸が使えず手づかみで食べた。家で食べたことがない食材が多く名前もほとんど知らなかった。

   ・ 小学校一年生で「僕は誰を信用すればいいの」と話した。

    ・気持ちをコントロールできず、カーテンを切る、物を投げる、壊すといった行動に出る。

個別に取材すると、身体面の影響は小柄であったり痩せ型であったりと長期に影響が残るケースもあったが、
筋力や虫歯はリハビリや治療で回復するケースも多かった。

長期に残るのはやはり対人関係への影響で、なかには、保護されたあと社会に適応できないことに苦しみ続け、
自ら命を絶った女性もいた。

ひどい状況が待っているのですね・・・